こんにちは、職人の西治です。
さて、4回目になりましたランドセル職人の映画駄話、

今回扱う映画は

『この世界の片隅に』です。

もともとクラウドファンディングによって制作費を集めた本作。
今では各賞を受賞し、様々なメディアに取り上げられていますが、公開当初は全国で63館のみでしか上映しておらず、知名度もほぼありませんでした(ちなみに同じ時期に公開されていた『君の名は』は300館)。
かく言う私も友人の勧めで鑑賞しに行ったのですが、今になって思えば、こんな素晴らしい映画と出会わせてくれた友人には感謝してもしきれません。
お話は戦前、戦時中、戦後の日本の軍港、呉を舞台としているのですが、他の戦争を扱った作品と違うのが、
「膨大な資料をもとに当時の舞台をアニメで完璧に再現」し、
「その世界に生きた少女の視点」でそれを描いている点です。
その徹底ぶりは観賞し終わった後、1人の人間の人生の一端を味わったかのように錯覚させられるほどで、私は感情の渦に飲み込まれ、しばらく席を立てませんでした。
それほどまでに濃密な映画体験でした。
本作の監督である片渕監督作品では以前『マイマイ新子と千年の魔法』を鑑賞しましたが、こちらも設定されている舞台の再現度がとてつもなく高いです。
そして、それにより、映像の中で「人が生きて、ちゃんと生活している」ように感じられましたが、本作ではさらに描写が細かさに磨きがかかっているように思えます。
今回取り扱った『この世界の片隅に』の原作は、こうの史代さんの漫画です。
上・中・下と3冊ありますが、こちらでは映画で語り尽くせなかったお話も掲載されていますので、映画と合わせておすすめです。