こんにちは。職人の西治です。

 

子供の頃は苦手だったのに、

大人になって平気になったものってありますか?

私のとってのそれはトマトです。

子供の頃、トマトのあの、なんとも言えない酸味と瑞々しさが苦手だったのですが、

大人になって、やっと魅力に気がつきました。

あの酸味が逆に良いのですね。

夏の暑い日でもトマトソースの味付けだと、

さっぱりとしていて、ペロッといけちゃいます。

 

 

そして、今回観て来た映画は、

『夜明け告げるルーのうた』です。

少し前に紹介しました、

『夜は短し歩けよ乙女』の、

あの湯浅政明監督の最新作。

ちなみに『夜は短し歩けよ乙女』を紹介したブログ

http://ameblo.jp/ikutafactory/entry-12273675310.html

 

2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞(最高賞)を受賞。

キャッチコピーは、「君の”好き”は、僕を変える」。

話の内容は、

東京から寂れた町に引っ越してきた、音楽が趣味の主人公。

日々を陰鬱と過ごしながら、

自作の打ち込みを動画サイトに投稿していますが、

ある時、そのことがクラスメイトにバレて、バンドに誘われます。

主人公はバンドのメンバーの秘密の練習場所に行くのに付き合うことになりますが、

そこから家に帰ると海辺にはルーと名乗る人魚が。

さて、どうなるか、という。

本作の魅力はやはり、『夜は短し歩けよ乙女』の時も挙げた、

原色多めの酩酊したドラッグ的なアニメーション表現だと思います。

またこれが、歌、音楽との相性抜群で、

存分に湯浅監督ワールドを楽しむことができます。

そして、テーマについても

とても、心に響くものがあります。

前述したキャッチーコピー、

「君の”好き”は、僕を変える」。

主人公の”好き”は趣味である音楽です。

しかし、これは、周りからの評価であったり、しがらみであったりで、

動画サイトに投稿するだけにとどまっています。

自分の殻に閉じこもっているのです。

対して、主人公が出会う人魚のルーの”好き”も音楽。

しかし、人魚は太陽の光に弱いため、

影の中でしか活動することができません。

つまり、この二人は自分の”好き”を大手を振って周りに伝えることができません。

そんな二人が”好き”を表舞台で叫ぶまでの道のり。

これを通じて本作は、

好きを、夢を、謳うのは決して恥ずかしことなんかじゃない、間違いなんかじゃない。

ということをテーマにしているのだと思います。

そして、もちろん、好きを諦めることも、

いつか、好きじゃなくなってしまうことも、

長い人生ではあるかもしれません。

実際、本作に出てくる主人公の父親は音楽に対する好きを、夢を、諦めています。

しかし、それでも、

そんな人たちも新しい好きを見つけ、追求し、努力しています。

そんな、夢が破れた人たちを敗者とせずに描き、救済している点も、

本作の素晴らしい点だと思います。

 

他にも、語りたいことがたくさんあるのですが、

長くなってしまいそうなので、とりあえずここまでで。

とにかく、おすすめです。